今まで暮らした家からのプレゼント

 

 結婚して四年半になりますが、私たち夫婦はお寺から近くのアパートで生活してきました。両親や妻と関係を築く上でもちょうど良い距離感だった思っています。それが子どもの誕生を中心に仕事上の不便等の様々なきっかけがあり、金寶寺会館に隣接した住居部分を建て替えて、私たち夫婦と子どもの三人で引っ越してくることを決めました。すでに解体が始まっており来年三月に完成予定です。新居の完成はとても楽しみですが、解体が始まるまでが大変でした。小さいころから過ごした我が家にはたくさんの物があり、約一カ月をかけて様々な物を片付けては移動し、不要なものは分別して捨てる日々。期日までに間に合うのかという不安と、冷蔵庫や本棚の移動等で心身ともに疲れ切り、それが理由なのかわかりませんが、片付けの完了後に一週間も発熱が続きました。

 

 そのように大変だった一カ月ですが、たくさんの喜びもあったのです。子どものころの作文や水彩画が見つかると片付ける手を止め、当時を思い返すこともありました。長年開くことのなかったアルバムには、境内にシートを広げピクニックをしている写真や弟と公園のアスレチックで遊んでいる写真、生まれたばかりの妹もいっしょに出かけた家族旅行の写真。そこに写る私たち三人の子どもと父、母の姿を眺めていると、懐かしく思うと同時にこれほど多くの楽しい思い出を作ってもらい、ありがたかったと親になった今思います。

 

 思い出が詰まった家が解体されるのは悲しいことですが、そのための片付けは家族で協力する貴重な時間であり、昔の写真をみんなで眺めて思い出を振り返るのは温かいひとときでした。それは解体されてしまう家が私たちにくれた最後のプレゼントだったと感じます。ここまで育ててもらった感謝を忘れずに、新たな生活への一歩を踏み出してゆこう、そう決心しています。